企画・デザインは企業の寄生虫ではない。

 例えば多くの人が以下のような経験をしているでしょう。すなわち、あ
る自然公園のパンフレットを手にして、文字や写真がきれいに並べられて
いるのを見ながらつぶやくのです。
 
 「本当にこんなにきれいなのかしら。」
 
 幼児の描き写した一万円札を見て絵の上手な子として褒める事はあって
も、間違って使う大人はいません。しかし本物と区別がつかぬほど精緻に
複製したならば犯罪となります。
 前出のパンフレットの例は、精緻な一万円札の複製に似ています。実際
の自然公園を知らない人は、パンフレットの印象のままに現地を踏んで叫
ぶのです。
 
 「全然違うじゃないか」と。
 
この間違いは、どこから起こったのでしょうか。
 私たちが接する多くの制作物の中には、こうした企画・デザインものが
数多くあります。このような企画・デザインをヴィクター・パパネック教
授は「危険」で「有害」なデザインとして厳しく批判しています。
 考えることを放棄し、紙面の遊戯に終始する粗雑で隈雑な作業は、利益
を追及するには最も効果的かもしれません。しかしその結果は、やがて荒
れ地のように枯れ果て、私達自身の信用をも失うことになるでしょう。
 私達の仕事が、あたかも幼児の描く一万円札のように、豊かな未来に富
むものとなるためには、常に必然的結果としての企画・デザインを追及せ
ざるを得ません。その意味から表紙のデザインは、必然性を浮き上がらせ
る定理を使用しました。





AIDMAの法則

A ttention (注目)
I nterest (興味)
D esire (欲望)
M emory (記憶)
A ction (行動)
+C onvictuon (確信)


AIDMA(アイドマ)の法則とは、アメリカのローランド・ホールが提唱
した消費行動の仮説である。人が物を購入する際には上記のような段階を
踏む、という説。


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