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THINNER DISPENSER
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印刷関係で使用する「のり」は一般的につかわれているものとは違い、ゴム系のものを使います。張りあわされた紙をはがすのにシンナーを使うのですが、シンナーを入れる容器が「THINNER DISPENSER」です。

独特な形

容器本体は円錐形で安定感のあるカタチです。上の方にネジ式でノズル部分をつけるようになっており、ノズルをはずして、ここからシンナーを補給するようになっています。

ノズル部分は全体に「くの字」に曲がっており、先端にいくほど細くなっています。そのため、少しの力で勢いよくシンナーが出るようになっています。さらに先端にはネジがついており、これがフタがわりとなっています。

はがすとき

版下には様々なモノが貼られています。中でも一番、面積の多いものは写植でしょう。写植とは、わかりやすく言えば、文字が打たれた印画紙です。チラシでもリーフレットでも、写植で組版すると必ず印画紙で現像します。そしてこの印画紙を版下に貼るという作業かせ必要になるのです。

貼るときは案外、気持の良いものです。まっさらな版下に、できたての印画紙を貼る。ピッタリと狂わず貼れると気持も明るくなるというものです。

しかし剥がすときというのは、どうもいけません。たいていは間違いが発見されたり、レイアウトが変更になったりと良い理由ではありません。なかなか精神力のいる状況であったりします。最初は気合い十分でも、そのうちゲッソリとした表情になってくる場合があります。なんとなく怒りっぽくなったりします。こんな訂正を複数の人間で手分けして行うと、自分の分だけ急いで終わらせて、人の手伝いをするときはペースがガクンと落ちたりもします。別に悪気はありません。

ペコペコ

深夜になっても仕事が終わらず、泊まり込みの体制で会社案内を作っていたときのこと。隣の部屋は上司が一人で使っていました。いつも寡黙に仕事をする人で、痩せて髪型は伸び放題でした。そのせいか実年齢よりも老けておりました。

どうも変な音が聞こえてくる。何かなと思って聞いていると、隣の部屋から妙な鼻歌と「ペコペコ」という音が、かすかに聞こえてくるわけです。あぁーとか、ファーファーとか意味不明な歌の断片とともにペコペコ、ペコペコという音が聞こえてくるのです。

ひとり黙々と膨大な量の作業をこなす先輩に、私は黙って珈琲を入れて差し上げました。部屋に入ると先輩は歌うのをピタッと止めて「おおー、サンキューサンキュー」と言っておりました。

つまりペコペコという音はディスペンサーの底を押すと鳴るのです。ペコッと押した分だけシンナーが出て、それを目安に剥がすわけです。一回分のペコでどれくらいの量のシンナーが出るかは自然と覚えてしまいます。

改良しない便利さ

このディスペンサーは、改良しようと思えばいくらでも改良点が見つかると思います。それをしない理由は知りませんが、結構なことであると思います。無駄な便利さばかりで囲まれている時代だから、なおさらそう感じるのかもしれません。

現在(2003年2月)、組合では印刷用紙の北海道価格に反対の運動をしています。確かにメーカーは数えきれないほどの種類の紙を供給していますし、日本人自身の紙に対する姿勢も安易な感があります。スーパーで見られるパッケージなど、その最たるものでしょう。なんであんなに包装するのでしょうか。本当に必要なんでしょうか。

一方的に、なおかつ信頼しうる根拠すら明示せずに価格を上げるその前に、無駄になりすぎた自身の企業体質を見直す必要はないのか、悪しき慣習を都合良く解釈していないか、組合が疑問を呈するのは小学生でもわかる内容です。

改良したついでに価格も上げるという企業がある一方で、改良の必要性すら省く製品は貴重です。

無駄を省いた障子と襖の日本文化を、企業理念にも活かしてほしいものです。

THINNER DISPENSERを3Dで作ってみました。