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手のひら大の円を描くなら、通常使っているコンパスで事足ります。しかし、直径3ミリの円を描くとなると、いつものコンパスではうまく描けません。コンパスの足が長すぎてネジレてしまうからです。そんな時に使うコンパスがあります。

一気に描く

カラス口をつけたコンバスで円を描くときは一気に描くのが基本です。カラス口は速乾性の製図インクを含ませるので時間をかけるとインクが乾燥し、最初と最後では線の太さに違いがでることがあります。また、一定の角度をたもったまま一定の力と速度で使うのが原則なので、クルッと素早く円を描くことになります。通常であれば、それほど難しい作業ではありませんが、これが直径3ミリなどの小さな円になるとうまくいきません。

なぜなら小さな円を通常のコンパスで描こうとすると、軸足と描く方の足がねじれてしまうからです。与える力に対してコンパス自体の構造が不適切となってしまいます。大は小を兼ねる、といいますが、この場合は大は小を兼ねません。

そこで使用するのが、軸足と描く方の足をネジで調整できる専門のコンパスというわけです。

構造

ズレが生じてはいけませんから、コンパス自体の創りは堅牢です。遊びもないし、1つの動作にプラスもマイナスもない創りが身上です。半径を決めるのはネジとなっています。そのほか通常のコンパスは一番上の部分をもって回しますが、このコンパスは軸足がそのまま一番上の部分を兼ねています(画像一番上の部分が軸足とつながっている)。そして上から二番目の円盤は本体と接合されており、ここを持って円を描くという構造になっています。つまり軸足がねじれないというわけです。

先端はアタッチメント方式で、カラス口と鉛筆の芯用のふたつがセットでついています。作業によっては切り抜くという場合があり、カッターの刃を使えるようにする人もいます。この場合、単に刃をとりつけるだけではダメで、刃が回転するようにしなければなりません。

デザインを変えない

その形態や創りが用途の必要性を満たしているため、特にECOBRA社のコンパスは頑固にデザインを変えません。変わったのは価格ぐらいのものです。使用目的が明確になっているため余計なものなど必要なく、それが強い説得力になっています。それはまた、使う人の技量がはっきりしてしまうことを意味すると言えます。

価値

よくドイツ人と日本人は似ていると言いますが、こうしたモノを見ていると明らかに違うと思うのです。その違いは価値観の違いかもしれません。

かつて「価値観の多様化」などという言葉をマスコミは使いましたが、大多数の日本人に明確な価値観などなく、それは結局「欲望のはけ口の多様化」にしかなりませんでした。もともと価値観がないのに、多様化するはずがない。

その結果が現在(2003年1月)マスコミを賑わせる多くのゴシップ記事であり、その当事者のあるべき姿と報道される品位人格を知ると恥ずかしくなります。警察官、裁判官、教師、医師などなど。たいした「価値観の多様化」であります。

日本の多くの印刷会社は中小零細企業です。そしてほとんどの会社が大もうけすることなく、地道な作業をくりかえしながら成り立っています。「欲望のはけ口」は金がかかるわけで、そのおかげで多くの印刷・製本会社は無縁でくることができました。

地道な印刷の世界に魅力を感じる酔狂な人達が、意外な価値観を持って生きていたりするのです。

Fallnullen-Zirkelを3Dで作ってみました。