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レンズとして優れていながら、印刷や製版の現場には使われていないルーペがたくさんあります。むしろ限られたルーペしか使用されていないような気がします。ルーペの種類は限りなく多く、中には自分専用として使い勝手の良いものを探す楽しみもあります。いわば業界の中でもマイナーなルーペですが、その中のひとつを紹介します。

新聞広告が凸版だった頃

日本の3大新聞(朝日・毎日・読売)の広告原稿が凸版だった頃、最も気を遣ったのがお中元とお歳暮の広告でした。某デパートの広告を担当していたのですが、いよいよ腐食凸版もできあがり、カ○ピス本社にてゲラ刷りの校正を持ち込んだ時のこと。高齢と思われる担当者がゲラにルーペをあててじっくり網点を確認されました。そして一言、「新聞の印刷ではこことここの網点がふらつきます。ふらつかない網点になるよう、やり直してください」。こちらガックリ。難しい注文だけど、やりがいあるなあと慰めながら帰社しました。

その時のルーペ

実はその時、担当者の方が使っていたのがシュピーゲル社のPOCKET-Eというルーペでした。東ドイツ製でレンズ部分は上下に分かれてスライドでき、それぞれに二つの倍率をもったレンズがついています。持ち運ぶときはスライドを本体に収めてスッキリ真四角という機能的なカタチでした。

それまで見たこともなかったルーペでしたが、その後たまたま通りかかった店先に展示されていたのを見て迷わず購入してしまいました。

弱視の方用に紹介されているモノ

デザインや写真、製版、印刷の世界では使われるルーペの種類が決まっています。そんな中でシュピーゲルのレンズはマイナーもいいとこです。現在では弱視の方が使うルーペとして紹介されているようです。たくさんのルーペがある中で、自分にとって使いやすいルーペを探すのも楽しいのではないかと思います。

「ちょっとルーペ貸して」といわてシュピーゲルのレンズを渡したとき、たいていの人が一瞬、黙り込みます。そんな時、してやったりと思ってニヤリとしてしまいます。

真面目な道具を使った、不真面目な喜びであったりします。

SPIEGEL POCKET-Eを3Dで作ってみました。
注・画像ではレンズ部分は円筒形となっていますが、実際には球体状です。