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印刷の主流であるオフセット印刷を行うには、はじめに「版下」というものを制作します。いわば設計図のようなもので、1枚の紙に必要な情報の全てを正確に記入します。この版下を製版カメラで撮影し、版下の指示にしたがって製版フィルムが作られます。正確でない版下は製版の現場に迷惑をかけ、仕事になりません。一方、上手いデザイナーは製版作業を考慮した版下を作ったり、指示したりできたものでした。
烏口は線をひく道具ですが、版下作業には欠かせない道具であり、デザイナーは自分専用の烏口を持っていました。今ではコンピュータ化が進み出番がすっかりなくなってしまいました。
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トンボ
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烏口が必ず必要になるのが「トンボ」というマークをひく時です。トンボには角トンボとセンタートンボがあり、角トンボは仕上がり断裁に関する情報、センタートンボはいくつものフィルム等を正確に合わせるための情報です。新人の頃は、綺麗かつ細くて正確なトンボをひくことを練習させられました。製版会社によっては、センタートンボがいい加減な版下は受け取ってくれませんでした。
烏口を手に悪戦苦闘するのですが、専門店で自分用の金額高めの烏口を購入し、めげずに練習しました。
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製版職人
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印刷物をデザインしても、印刷物にするのは製版・印刷・製本という工程を経なければなりません。こうした部門や会社は職人さんが中心で、かつては一筋縄ではいかない人たちの集団でした。そのかわり仕事を教わるには格好の場所で、自分がデザイン・色指定したものがどのような作業の後にできあがるのかを学ぶ場所でした。
上手いデザイナーは単に机の上の作業だけが上手いのではなく、こうした職人さんからも信頼されていました。それはデザインを始める前から後工程としての現場の作業を想定し、版下や色指定も無駄のないものだったからです。
こうした先輩デザイナーは烏口の扱いも丁寧です。版下作業は新人が担当しましたが、たまに本人が作業をする時は上手いものだと感心します。
また、使い込むと先が甘くなるので研ぐのですが、研ぎ石はアーカンソーと決まっていました。8の字に研いで、最後にサッとカドを取るのですが、これも難しい作業でした。
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パソコンよりきれい
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線を引くことに特化した道具ですから、簡単にコンピュータ化されてしまいました。0.1ミリの細い線も2ミリの太い線も、モニタ上で思うがままです。けれども四隅が丸い枠については、未だに烏口の方が綺麗に思えます。人間の目の錯覚を利用して、四隅の丸い部分と直線との接点の角度を、少しゆるくするのです。現在のコンピュータで作った角丸の枠は、接点がふくらんで見えます。これは綺麗ではありません。
いい仕事をする人が使っている烏口と同じものを求めて、新人の頃は専門店を歩き回ったものです。
線一本にも個性のある時代でした。
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烏口を3Dで作ってみました。
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